男のリーダーシップ

directon & text by YUJI MORIYA illustration by CHINO A

人材育成コンサルタント、守谷雄司氏による熱血マネジメント講座。今回のテーマは、「自分に克つ」です。人生、何をやるにも「体力」と「忍耐力」が必要であると考えます。コロナ禍の今、自分を頼る〝強さ〞を身につけることが大切です。そのためにも、あなたの生活の中にちょっと体を動かす習慣を取り入れてください。それだけで「強い自分」を引き出すことが可能になるからです。

第96回
自分に克つ!

 ビジネスとスポーツは共通点がある。競争の世界ということだ。人と同じことをやっていては、スポーツでは他人には勝てない。しかし、人に勝つためには、まずは自分に克つ(勝つ)ことが大切である。
 では、どうしたら勝てるか。理由は単純明快だ。目標達成に向けて、準備という名の努力をすることだ。たとえば、今年の私の仕事は、7月から11月にかけての合宿研修が3本だけ。(民間の教育団体主催)後は、執筆の他、単元本や新聞・雑誌の類を読む程度だ。もっぱら書斎に引きこもってのリモートワークというわけだ。 
 コロナ禍以前の昔(10年前頃)は、手帳は仕事でうまっていった。今は、病院の日程(眼科・歯科・脳の定期診断等)から埋まっていく。面白くもなんともない。そんな私でもありがたいことに40年の長きにわたって講師という仕事を与えてくれている教育団体もある。そのご厚意に応えるためにも、研修当日、最高のパフォーマンスを発揮できるよう、自分なりの準備をしておかなくてはならない(主として体作り)。
 分かりきったことだが、勉強にしろ、体力作りにしても「付け焼き刃」的な態度でどうにかなるものではない。それなりの「忍耐力」と、「やると決めたらやるんだ」という克己心とが必要である。幸いなことに、私にとって体を鍛えるということは、苦痛でも何でもなく、ひとつの修業だと思っている。幸か不幸か、他に趣味らしきものは、何一つ持っていない仕事人間の私だ。もう30年近くバカの一つ覚えのように繰り返している。

 そんな修業をエンジョイする習慣!? の一部を紹介させていただくと、こんな具合だ。朝食(6時)を済ませたら、60分(前半と後半に分けて)、早口言葉中心のボイストレーニングを行う(音読)。A4の用紙にして13枚の分量、ただし、この用紙も20年近く使用しているので、紙のアチコチが破損し、文字の判別ができないような箇所もある。こうなった以上、記憶に頼るしかないと覚悟を決め、覚えにくい箇所は何度も繰り返している。今のところ(2021年1月18日)記憶に年齢は関係ない、を実感している。
 ボイストレーニングでは、早口言葉以外にも新聞(4紙購読)の一面中心の囲み記事の音読。さらには、研修での講義で使用する重要ポイントをまとめた資料等(A4版8枚)の音読(特に声の強弱、高低に変化をつけて)を行っている。ボイストレーニングをやるのは、“まさか”の不安解消のためでもある。7年前に脳梗塞のため言語が不明瞭になり、1ヶ月の入院という経験をした。二度とそうしたことが起こらないようにという願いを込めて行っている(取り越し苦労にすぎないのだが)。新聞の小さな囲み記事などの音読は、視聴的な刺激を聴覚にフィードバックして確認できるし、また、唇や舌、喉など様々な部分も使うので、それだけ体をフル動員するわけで、黙読するよりはるかに脳の刺激となり「記憶」が強まることを実感している。
 さて、午前中の8時30分から12時は、執筆の時間である。今、連載している3本の原稿を机上に並べ、それぞれ思いついた箇所や書きやすい箇所から書くことにしている。こんな書き方をしていると、思考の拡散や集中力を欠くのではないかと心配される方もおられるかもしれないが、私にとっては怠けているわけでもないし、このやり方がベストなのだ。要は、品質を落とさずにそれぞれ納期を守ればよいだけのこと。
 ただし、集中力は午前中の3時間という(「鬼滅の刃」ではないが全集中)短時間だ。ただし、1時間に1度は、30秒から1分程度は席を立って「簡単なストレッチ」を行う。高いハイパフォーマンスで働くためには、「こまめに動くこと」が重要であると考えるからだ。さて、午後の4時から5時までは、アスリートを気取っての体力トレーニング(目下の体内年齢67歳を65歳にしたいというささやかな目標がある)を実施する(ラジオ体操や筋トレは、書斎の横の4畳半の狭い板張りの部屋で行っている)。
 まず、「ラジオ体操・第一」で老化に負けない体を作る(私ほどの年代の人たちの研修でも「心身活性化」として、ラジオ体操を取り入れている)。この体操は、全身のバランスを効率よく整えるための動きが13も入っており、たった3分ほどで筋肉を400ヶ所以上動かすことができると言われ、まさに計算され尽くした体操なのだ。
 次に、試行錯誤、紆余曲折を経ながら、やっと自分にピッタリとした定番の「自己流筋力トレーニング」を実施する。メニューは、腹筋、腕立て伏せ、前屈、足上げ運動、体幹訓練等。ただ、正直言うと、腹筋トレーニングは辛い。1分間に60回を課しているのだが、しかし、ここからのもう一回は本当に辛い。でも、「もう1回やらなければ食にありつけないぞ」と心に決めて、もう1回に挑む。たったの1回なのだ。しんどいけれども、あと1回、あと1回と頑張る。断じて弱気を口にしてはならない。「これ以上できない」と思った時からの「もう一遍」のチャレンジが自信を生むからだ。
 さて、仕上げはウォーキングだ(歩くコースを4つに分けて、日によって変えている)。ただし、長時間のダラダラ歩きではなくて、「普通歩き3分、早歩き3分」の交互に40~50分程度を目安に作っている。これは「インターバル速歩」と言って、最近、多くのビジネスマンが取り入れている。実施してみて分かったことは、膝を伸ばす筋力、膝を曲げることが多く、持久力もついてきたように感じている。私がこの速歩を取り入れたのは、まだ半年足らずであるが、現在の私の体内年齢は68歳であり、これはこれで嬉しい限りだ(目標は65歳にすること)。
 これらの定番をやり遂げた時は、「今日も自分に克っ(勝っ)た」と嬉しい気分にもなる(早い話、自己満足に過ぎないのだが)。「勝ちといふは、味方に勝事なり。味方に勝といふは、我に勝事なり。我に勝つといふは、気をもって、体に勝つ事なり」(「葉隠」より)。

 カッコいい男の代表といえば、歌手の郷ひろみさんもその一人だ(「よろしく哀愁」「お嫁サンバ」のヒット曲も多数)。現在もバラードからアップテンポで幅広くこなし、大人のエンターテイナーとして活躍されておられる。御年65歳であるが、しなやかで引き締まったスリムなボディ、フットワークのよい軽快な身のこなし、未だ衰えぬ声量、どれをとっても絵になる男だ。
 これすべて、人生最高の時期60代で輝くための準備をしてきた、いや、続けているからだ、と語っておられる(「黄金の60代」郷ひろみ、幻冬舎)氏の言葉が実にいい。「死ぬまで発展途上」「緊張感を愛する」「何事も突き詰める」「暇を嫌う」など)。ポジティブな人生観そのものだ。なるほど踊れるわけだ。歌えるわけだ。カッコいいわけだ。
 私が日々懲りずに運動する究極の目的は、研修という舞台で最高のパフォーマンスを発揮すること。3年後の自分の志、夢、いや俗っぽく言えば、野心達成のためだ。3年経てば、87歳、どこからどう見ても立派なジジイ(それまで生きている保証もない)。
 その時、待ってました、私の第二の人生到来! 一意専心、小説書いて、でっかい賞をとるぞ! 87歳のジジイでなけりゃ書けないものにチャレンジする。この強がりが萎えることがないように、日々、肉体と精神に気合を入れて、筋力トレーニングに励んでいる。何事も準備、準備である。人生「夢を描く」これがあるから楽しいのであります。

今月の語録

“人の輝き”って、結局は体力。人間であれば、誰だってやりたいことや、やり残したことがあるはずだ。それを全うするためには、一にも二にも健康でなければならない。体力があれば、何に対してもやる気を持って、ちゃんと向かい合えるし、多少嫌なことや困ったことが起きても前向きに対処できるからだ。

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