ビジネス論、大開陳! 鳩山会談 CEOセオさん

edit & text by KAIJIRO MASUDA
illustration by CHINO A

今回のゲストは連続起業家兼アーティストの「CEOセオ」さん。これまで10近くの起業を経験した連続起業家であり、2019年からはホリエモンこと堀江貴文さんや明日花キララさんとデュオを結成するなどアーティストとしての顔も持つ多才な人物です。今年の6月までトランスコスモスの取締役CMOだったので、同社の社外取締役を務める鳩山さんとは旧知の仲。華やかなこれまでのキャリアと失敗談、ビジネスパーソンが表に出る時代の到来、6月に設立したばかりの新会社CEORYの事業内容とビジョンまで、話は大いに盛り上がりを見せました。

第二十九回

GUEST
CEOセオさん

連続起業家兼アーティスト。連続起業を経て、デジタルホールディングスやトランスコスモスなどに会社を売却、ビーグリーで株式上場も経験。2016年よりトランスコスモスの取締役CMOとして大企業経営に参画。2019年にはアーティスト活動を開始し、堀江貴文(ホリエモン)や明日花キララとコラボ。2021年6月にCEORY(セオリー)を設立し、代表取締役社長兼CEOに就任。

鳩山:私はトランスコスモスで社外取締役を務めているのですが、セオさんは今年の6月までトランスコスモスの取締役CMOとしてご活躍されていました。

CEO:大変お世話になりました!

鳩山:こちらこそです。さっそく新会社CEORY を設立されたわけですが、まずはこれまでのキャリアを教えていただけますか?

CEO:はい。中学時代からファッションが大好きで、それは今も変わりません。就職は広告業界志望で、80社受けた中で唯一内定をいただけたのがインターネット広告事業のバリュークリックジャパン。その後2006年にエスワンオーを起業し、2007年にファッションブランド「satisfaction guaranteed」(sg、1)を設立しました。2011年にはエスワンオーの広告部門を事業承継したエスワンオーインタラクティブ代表取締役会長に就任し、同社をオプト(現デジタルホールディングス)へ売却しました。

鳩山:それで2011年にシンガポールに移住されるわけですね?

CEO:はい。sgは経済産業省のクール・ジャパン戦略推進事業に採択されたり、ブランドのライセンスビジネスにも発展させましたが、結果的に成功は収められませんでした。2015年には若手ファッションブランドのコングロマリット企業であるBrand's Right Hand(BRH)を設立し、電子コミックサイト「まんが王国」を展開するビーグリーの経営にも参画しました。一方で、2013年に設立したSOCIAL GEAR PTE LTDを、2016年にトランスコスモスに売却。その縁で同社の取締役CMOに就任し、イノベーション担当役員としてこの6月まで働いていました。

鳩山:連続起業家を名乗るにふさわしいキャリアですね! 日本に戻ってこられたのはいつ頃ですか?

CEO:約2年前です。トランスコスモスという大企業の役員を遠隔でやっていることに後ろめたさがあって、本気でコミットしようと思ったのがキッカケです。ライブコマース事業を軸としたミーアンドスターズを俳優の山田孝之と作ったという理由もありました。

鳩山:JAY–Zがシャンパンのブランドをやったり、Drドレーがヘッドフォンのビーツをやったり、カイリー・ジェンナーがコスメブランドをやったり、アメリカでは芸能人が事業を始めるのが当たり前になっていますね。

CEO:まさに。その波が日本にも来ると思ったのですが、クリエイターと経営の両立って本当に難しい。それならビジネスマンが表に出るのもアリなんじゃないかと思って。

鳩山:それが堀江貴文さんとデュエットした「NO TELEPHONE」に繋がるわけだ(笑)。

CEO:堀江さんの「今の時代に電話はいらない」という話は有名ですよね。あのラップは私が1日で書たんですよ。作曲は岡嶋かな多(2)さんをはじめとした豪華布陣。岡嶋さんは僕らの世代でいうと小室哲哉さんみたいなポジションの人で素晴らしいクリエイターです。環境が整ったこともあり、連続起業家兼アーティストとして本格的に取り組んでいます。

鳩山:セオさんは自分のレーベリングが上手ですね。アントレプレナーでありアーティストという組み合わせは、日本では斬新です。でも、僕はサンリオを辞めてすぐの時は肩書きがなくなって少し寂しい思いをした経験があります。

CEO:私の場合はむしろ逆だったかもしれません。大きな会社の役員で偉い人と思われていたので(笑)、今の方が相談しやすくなったと言われます。もともと私は会社の肩書にすがりたくないという思いがあったんですよね。これからの時代、会社の肩書に依存した生き方はリスクで、個をどうブランディングしていくかが大事かな、と。あと、佐藤という名字は日本に山ほどいるので、CEOセオという名前で統一したのも、所属無しでも一致して覚えてもらいやすいからです。今後は本や漫画の原作も手がける予定ですが、それもすべてCEOセオで取り組んでいます。今は悪目立ちしているかもしれませんが、5〜10年したらビジネス系の人が表に出てくるのは当たり前になると思います。

鳩山:凄い覚悟とモチベーションですね! 尊敬します。

CEO:きっと刺激恐怖症なんでしょうね。刺激がないと生きていけなくて、もはや病気だと思っています。トランスコスモスからも辞めろと言われたわけではなく、普通に考えれば年収数千万円で名誉もあって安定した地位を捨てるのはリスクに感じるかもしれません。でも私は自分の人生を生きたい。自分で人生をデザインし続けたいんです!

守谷(編集長):ちょっと割り込ませてもらいます。2人も既に十分な資産をお持ちなわけじゃないですか。単純な疑問なんですが、なぜお金があるのに働くんですか?

鳩山:僕はお金があれば即引退しますよ。10兆円あれば(笑)。

CEO:資本主義の限界やイノベーションのジレンマだと思っているのですが、大企業になると100億円の利益が150億円になっても、実体は大して変わらず、ただ売上数字がインフレしているだけなんですよね。一方で年商1億円でもそこで働く人たちが枠に囚われず自由に行動し、ハピネスを感じられる会社もある。僕はそういう定量的な物差しだけじゃなく、振り幅があってQOLを高められる事が大切だと思っているので、お金があれば引退という風にはならないのかも。

鳩山:共感できる部分もありますが、イーロン・マスク(3)にしろビル・ゲイツにしろリチャード・ブロンソン(4)にしろ、お金があればあるほど自由度は高まるというのもあると思うんです。コロナ前からワクチンに投資するとか、そういう大きな動きをするには、はりお金が必要になります。

CEO:日本は上場すると会社が公的なものになってしまうので、そういう大胆な動きは難しいですよね。お話を聞いて、鳩山さんは世界の上位30人を目指していることが分かりました(笑)。

守谷:鳩山さんスゲー(笑)。

鳩山:では話を変えて、新しい会社のCEORY についてお聞きできればと思います。

CEO:CEORY は次世代ブランドのコングロマリット企業であり、ブランドトランスフォーメーションを提供する企業です。一言でいうと、私が2008年から挑戦していたsgの第二章とも言えるかもしれません。sgはどこよりも早くフェイスブックベースとしたD2Cファッションブランドの先駆けとして一世を風靡し、ファッションだけでなく美容室、エステ、雑誌、自治体、次世代自動販売機など様々なビジネスに挑戦しました。でも結果としては失敗に終わり、その悔しさは今でも自分の糧となっています。

鳩山:失敗は成功の母、ですね。

CEO:sgで実現したかったビジョンを令和版として復活させ、デジタル活用した次世代ブランドのコングロマリット企業に挑戦します。アクセサリーブランド「gray」を展開するBRH社でも引き続き取締役会長を務め、個の時代や企業のビジネスモデルのアップデートの支援を踏まえたブランドトランスフォーメーション事業を展開していきます。

鳩山:自分も取り組んでいますが、今の時代にファッションを成功させるのは本当に難しいですね。

CEO:ファッションは水物と言いますが、本当に水商売だと思います。一瞬成功したとしても、次の年にトレンドが変わればその利益は簡単に吹っ飛んでしまう。ファッションはプロモーションと割り切って、それ以外のところで利益を出していくブランドトランスフォームが今後は必要だと思います。

鳩山:なるほど。

CEO:今はDtoCではなくDtoF(ファン)の時代で、ファッションブランドはファンと直接つながってビジネスを作っていくのが大事。それは1000人でも100人でも良くて、ファンに幸せを届けるのが何よりも重視されるべきです。CEORY傘下のウィメンズブランド「ミューラル」は、既存の卸売りをかなり縮小して、インスタグラムとECを強化したところ、売上は大きく伸び、EC化率も8割を超えました。こういう成功例をどんどん増やしていきたいですね。

鳩山:最後にセンスの読者へのメッセージをお願いします。

CEO:声を大にして言いたいのは、何歳から何を始めても大丈夫だということ。僕も40を超えてアーティストとして活動し始めましたが、恥ずかしいのは最初だけ。皆が自分の好きなことに挑戦すれば、世の中はもっと楽しくなるはずです!

(1) satisfaction guaranteed(サティスファクション ギャランティード)

2007年にメンズブランドとしてスタート。2008年に代官山店をオープンし、2010年にシンガポール店をオープン。2013年時点でフェイスブックで440万人以上のファンを抱え、特にインドネシア、タイ、マレーシアなど東南アジアで絶大な支持を集めた。

(2) Kanata Okajima(岡嶋かな多)

作詞家、作曲家、音楽プロデューサー。1984年、青森県生まれ。幼少期をアメリカで過ごし、2000年から音楽活動を開始。2011年にレディーガガのパンクカバーアルバム「A GAG PUNK」のボーカルを担当。作詞作曲で携わったBABYMETALのアルバム『METAL GALAXY』がMTV Video Music Awards Japan 2020で最優秀賞アルバム賞を受賞。今最も勢いのある音楽家のひとり。

(3) Elon Reeve Musk(イーロン・マスク)

アメリカの実業家、エンジニア、投資家。1971年、南アフリカ・プレトリア出身。宇宙開発企業スペースXの創設者およびCEO、電気自動車企業テスラの共同創設者、CEOおよびテクノキング、テスラの子会社であるソーラーシティの会長などを務める。

(4) Richard Branson(リチャード・ブロンソン)

ヴァージン・グループ会長。1950年イギリス出身。1973年にレコードレーベル「ヴァージン・レコード」を設立し成功を収める。1984年にヴァージン・アトランティック航空を設立。グループ全体で22カ国、25,000人の従業員を擁する規模にまで成長させたイギリスを代表する起業家。