愛してやまない特別なTシャツ 俺の一枚 前田嘉之

photography by TOYOAKI MASUDA
text by DAISHI “DA” ATO

LABORATORY/BERBERJIN®の名物スタッフで、センスの公式YouTubeチャンネルでも人気の村越雄大氏。彼がTシャツに精通したゲストを迎え、“人生の一枚”を聞き出す新連載がスタート。記念すべき第1回目のゲストは、LABORATORY/BERBERJIN®で代表を務める前田嘉之氏。

Vol.1 Guest YOSHIYUKI MAEDA

Guest 前田嘉之
原宿のヴィンテージショップLABORATORY/BERBERJIN®とオリジナルブランドLABRATを運営する(株)PARIS•TEXAS代表。最近、郊外で過ごすことが多いせいか、肌ツヤが良くなってゴキゲンだという。

村越:昔と比べて今の古着Tシャツ市場の変化は、どう感じてますか?

前田:20年前はバンドTをストリートでお洒落に着るっていう文化が海外にもなくて。

村越:バンドTがメインの古着屋さんが増えたのってここ数年ですよね。

前田:そう。今はみんなで取り合いだよね。だから、もちろんその頃よりも値段は上がってる。5年前ぐらいにアメリカまで買い付けに行ったら、本当にいいなと思うTシャツだけで200枚ぐらい集められたんだけど、今はブルース・スプリングスティーンみたいにさほど珍しくないTシャツを入れても10枚集めるのがやっと。人気が高くなるのはいいんだけど、もどかしいよね。

村越:さて、今回持ってきていただいたTシャツですが、これは83年にアルバム『DUCK ROCK』がリリースされた時のマルコム・マクラーレンTシャツですよね。前田さんのデスクの横に飾ってあるので僕もいつも見てますけど、めちゃくちゃヤバいですね。

前田:本当は額に入れて飾りたいんだけどね。

村越:本当にそういうアイテムですよね。グラフィックをキース・ヘリングがやっているし、そういう意味でもかなりスペシャルな1枚だと思います。

資料的価値も高いレアな一枚
セックス・ピストルズやヴィヴィアン・ウエストウッドといったパンクのイメージが強いマルコム・マクラーレンがアルバム『DUCK ROCK』(1983年)でソロデビューした時の1枚。グラフィックはキース・ヘリングが担当。当時はファッションとしてTシャツを1枚で着る文化が浸透していなく、大きいサイズは貴重。今では10万円を超える価値がつくという。

前田:マルコム・マクラーレンというとセックス・ピストルズとかヴィヴィアン・ウエストウッドみたいなパンク的なイメージが強いと思うんだけど、このアルバムでいきなりヒップホップを取り入れてソロデビュー。

村越:マルコムはその少し前にバウ・ワウ・ワウを結成していて、キース・ヘリングに影響を受けたコレクションも展開してましたよね。

前田:知ってるねえ!

村越:いやあ、マルコム・マクラーレンは大好きですから! てか、このTシャツは他では本当に見ないですよ。

前田:しかも、これはサイズが大きいのが良くて。当時はピタピタで着るサイズ感のものが多かったんだけど、綿ポリでこの大きさっていうのは他にないと思う。あと、蛍光色っぽいこの色ね。

村越:たしかに、80's前半ってファッションとしてTシャツを1枚で着る文化がまだ浸透しきってなくて下着用の小さめなサイズ感のものが多いから、1枚で着られるこのサイズは珍しいですよね。ちなみに、前田さんが初めて買った古着のバンドTってなんですか?

前田:うーん……記憶に残ってるのはビースティ・ボーイズかな。『ライセンス・トゥー・イル』のヤツがフリマで5千円だった。当時の相場で考えると高かったからちょっと買うか悩んだけどね。それと一緒にサザン・オールスターズの78年のTシャツも買った。あと、レベッカ。

村越:それはヤバいっすね!(笑)