SENSE MAN vol.9 featuring Shuta Sueyosh

photography by JUNJI HIROSE styling by RYO KURODA
hair & make-up by MAKOTO ( juice) text by SEIRA MAEHARA

アーティストとしてのみならず、その類い稀なる感性を活かし、ファッションブランド「Armillary.(アーミラリ)」を手掛けるShuta Sueyoshi氏を迎え、“SENSEの黒”を基調にエネルギッシュなストーリーを描く。

シャツ¥2 5 , 3 0 0 、パンツ¥22,000、ネックレス¥3,500、ベルト¥8,250 /以上アーミラリ(アーミラリ)、他私物

氏のプロデュースによる、既存の枠を超えたブランド「アーミラリ」より、自身も好きだと語るシャツをメインにした、ブラックスタイルを提案。胸元に配したエレガントなプリーツに、フロントにはブランドアイコンの金ボタン、そしてパールのネックレスが輝く。

ブルゾン¥330,000、パンツ¥407,000、ハット¥93,500、親指のリング¥38,500※参考価格、人差し指のリング¥38,500/以上サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ(サンローラン クライアントサービス)、他私物

一瞬で目を奪う鮮烈な赤をアクセントに、トランプカードを彷彿とする大胆なカラーブロックを施した。そんなレトロムードなブルゾンは、動く度に艶を放つシルクが、これでもかとラグジー感を主張。最後にフェドラハットを加え、最大限にクラスアップしたい。

ブルゾン¥192,500、パンツ¥104,500※ともに予定価格、ニット※参考商品/以上セリーヌ オム バイ エディ・スリマン(セリーヌ ジャパン)

ゼブラ柄の切り替えを随所に施すことで、ストリートな趣を携えたブラックデニムのブルゾンが主役。ゆとりのあるアームデザインをはじめ、デニム地の落ち感がヴィンテージっぽさを後押し。ハードなアニマル柄も、色と素材次第でこんなにも洗練された印象に。

カーディガン¥16,500、シャツ¥11,000、パンツ¥13,200、チョーカー¥6,600、スニーカー¥41,800/以上アーミラリ(アーミラリ)、他私物

繊細かつ流動的な表情を生み出す細プリーツは、全身で取り入れても決して品を失わない。シルエットは全体的にゆったりめ。カーディガンの着丈は、ポロシャツとの合わせを意識して設計しているという、そのこだわりにも感服だ。存在感ある黒小物にも注目したい。

SENSE MAN Interview with Shuta Sueyoshi

「正解がないからこそ、自分がやりたいことをちゃんとやりたい」。

守谷:この錚々たるメゾンブランドが似合うってなかなかですよ。振り幅があるし、表情も男らしくてすごく素敵な撮影でした。

Shuta:ありがとうございます!

守谷:洋服はいつ頃から好きなの?

Shuta:17歳頃に上京して、それから徐々に洋服が好きになって。

守谷:10代のその頃はどういった格好が多かったんですか?

Shuta:ネルシャツとか、あとはQUICKSILVERなどのサーフ系をよく着てましたね。もう『SENSE』とは全然掛け離れた所で。

守谷:まさかの! 実は僕も大学時代サーファーで、結構本気でやってました(笑)。僕の頃はBRONZE AGEというブランドとか、スケーター上がりのサーファー、クリスチャン・フレッチャーやケリー・スレーターなどが有名で。

Shuta:やばいです、その時代。僕も地元でずっとやってたんです。

守谷:元サーファーだったなんて、全然見えないね!

Shuta:昔はガングロでした(笑)。地元の友達とスケボーをやっていて、横乗り系の繋がりでサーフィンも始めました。なので、サーフ系ブランドなどを皮切りに、段々とファッションのバイオリズム、流行の周期などそういうことを自分でも調べるようになって。今でこそSNSなどで簡単に調べられる時代ですけど、昔はそういうツールがなかったなりに雑誌をあさったりしていて『SENSE』に出会ったんです。

守谷:嬉しいな! Shuta君の時代でも、そこまでデジタル化はしてなかったんだね。子どもの頃は、どんな子だったんですか? 

Shuta:好奇心が旺盛で、気になったものはとにかく何でもやってみるタイプでした。危ないと言われてることもやっちゃったり。正直、スケボーも転んだりして怪我をするので、危ないですよね。でも、またやっちゃう(笑)。ダンスもそうでした。ブレイクダンスから始めたので、アザや擦り傷、切り傷もよく作ってましたけど、それでも止めずに続けることで、技ができるようになることが嬉しくて。

守谷:ダンスの存在は相当大きいと思いますが、いつ、どんなきっかけで始めたんですか?

Shuta:出会ったのは中3ぐらいかな。それこそ、友達とスケボーをしていた広い公園にブレイクダンスの集団がいて。それを見掛けた時に「カッコいいな」と思って、自分でも見よう見まねで始めたんです。

守谷:アーティストとしては、まずダンサーが入り口?

Shuta:そうです! 歌うことは全く想像していなくて、むしろダンサーになりたかったので。

守谷:そこからグループに加入して、今はどうですか?

Shuta:グループとしては昨今の時勢もありドームツアーは控えている状態ですけど、休止中ということで今はこうして個々に活動したりもしています。ファッションも流れや価値観が変わっていくように、多分それぞれやりたいことって異なるので。そこはグループに固執せず、それぞれ活動して集まった時にパワーを発揮する。そういった感じで自由にやらせてもらっています。

守谷:今のアーティストとしての状況は、昔から想像できてました?

Shuta:全然。若い時は常に前にあるものを片付けようとしていて、現れる壁に対してどう登ってやろうか、どう立ち向かってくかという感じでした。30代になってようやく先を見据えるようになって、人との接し方や考え方も変わっていって。

守谷:30代半ばを迎えるまでに辛かったことはありました? 精神的に応えるというか。僕はちょうどそのぐらいの年齢で落ちることも多かったので。

Shuta:やっぱり辛いことの方が多いですよね。だけど、辛いことがあるからこそ嬉しいことが嬉しいって思えるし、その気持ちが倍増するのかなって。服を作ることも、自分がやりたいからやっていてそこに深い意味はないんです。やり続けることで意味は出てくる。しかもそれは周りに教えてもらうことで、自分で決めることじゃない。評価は自分でするものではないので。

守谷:すごく共感する。服はいつからやろうと決めてたんですか? 今はブランドデビューから2年目?

Shuta:もうすぐ2周年です。以前から服作りは漠然と考えていたんですけど、なかなかきっかけがなくて。ゼロベースからチャレンジするワケだから、やるにあたっても慎重にいきたいし、ロゴも試行錯誤したり、シンプルなアイテムからリリースした方が受け入れられやすいかなど自分なりに考えた上で、基盤を作ってスタートしました。

守谷:「Armillary.」という名前も素敵だよね。コンセプトは?

Shuta:シンプルかつ、生地感やディテールにこだわった独創的なものを作ることをコンセプトにしていて、"Armillary sphere=天球儀"という意味からとっています。元々、違う名前が候補に挙がっていたんですけど、語呂や覚えやすさを重視するタイプで、Armillaryは響きがいいなと。音楽制作でも、ここの歌詞の語呂がいいな、言いたくなるなといったことも意識しています。

守谷:ご自身は主にディレクターとして携わっているんだよね?

Shuta:そうですね、今は全部口出しさせてもらっていて。どうしても自分が入りたい(笑)。音楽もそうですけど、何か作る時に自分が介入していないと愛情が湧かないんです。人に言われてできたものって、やっぱり全然違う。

守谷:僕も(服を)作ってたから分かる。実際に作り始めて、今は順調ですか? 経験したから思うんですけど、2〜3シーズンでアイデアが詰まるというか、そこで抜ける抜けないもあるのかなって。今後どう服作りをしていくのかもお伺いしたいな。

Shuta:まだ始めて2年くらいですけど、出していくごとに服作りの難しさをすごく実感しています。既存のファンの方だけでなく、ファッションを愛している人達にも手に取っていただきたいという気持ちが強くて、その想いからブランドを立ち上げたので、改めて難しさに直面している感じです。

守谷:好きだったものも含め、今までの環境や経験が服に出るよね。

Shuta:そうですよね。出す度に改善点も出てくるんです。音楽然り全部そうですけど、結局現状に満足しないんですよ。売れ行きや反応もそうだし、ジェンダーで着こなしが違うとか色々な気付きがあるので、ある意味終わりがない。でも、だからこそ面白いと思える。

守谷:今着ている服の素材はレーヨンかな。この手の素材を、メンズ服でメインで取り入れるのは珍しいですよね。Armillary.を拝見して思ったのが、似ているブランドがないということ。普通何かしらに影響を受けていたり、近しいものがあったり、別にそれも悪いことではなく。強いて言えば昔のツモリチサトやイッセイミヤケ辺りが近いのかな。世代的に恐らく見てないと思うので、意識していないというか、ご自身の感覚的なアイデアなんだろうね。

Shuta:ありがたいです。着た時や動いた時の形をイメージしつつ、一番のこだわりは着心地です。手に取ってもらい、着てもらい初めて分かる、それは特に意識しています。

守谷:この色合いも相当珍しいですよ。ベージュとカーキの色がすごく綺麗。これは何かアイデアソースがあるの? 古着が好きとか?

Shuta:自分が持っているものも参考にしますけど、古着はそんなに着ないんです。色合いなども大事な一方で、着やすさもイメージしないといけない。そこでこの組み合わせはないな、これだとやりすぎかなと色々考えた結果がこれです。全部が良くてもパーツ、パーツが喧嘩してしまったら意味がないので、そういうバランスは常に探っています。

守谷 : すごく考えてる。ビューティーアイテムもリリースしてますよね! ウチもShuta君と一緒に何かやりたいな。ブラックセンスでは、まだアーティストとコラボしたことがないので。

Shuta:そうなんですか。ぜひお願いします!

守谷:ご自身的には、音楽と洋服は同等の力量でやってるの?

Shuta:もちろんです。全て100%でやりたい。何でも印象ってあるじゃないですか。服を見た時の、その人のイメージ。音楽を聴いた時の、その音のイメージ。そんな中で、例えば服だったら「この人は別の活動がメインなんだけど、服も作ってるんだよ」って耳にした時に、いい受け取り方と悪い受け取り方があると思うんです。それでいて、僕は悪い時の方が多いと思っていて。「ああ、あの人が作ったやつね」と先入観が邪魔をする。

守谷:先入観ってありますよね。

Shuta:逆も然りで、例えばずっと今まで服を作ってきた人が、急に音楽をやっても僕はいいと思うんです。でも結局そういう見られ方ってしてしまうので、それを打破したい。だからこそ出し方もすごく気を付けています。本当は僕が作ってるということも前面に出したくないんです。

守谷:難しいよね。僕は言ってもいいと思うし、それで目にしてくれる人もいるだろうなって。でもおっしゃってたことは本当にそうで、服を見もしないでイメージだけで悪く言う人も多い。それでいて、メゾンとこの並びってすごいことだよ。

Shuta:嬉しいです。『SENSE』に取り上げていただくことが本当に夢だったので。

守谷:僕も会えて嬉しいですよ!

Shuta:青春時代から見てました。レザー特集で、レザーにシャツを合わすというコーデがあって、まんま真似してたな。気になるページには折り目を付けて後々見返したりと、まさに教科書で。

守谷:嬉しいな〜! 自分なりにアレンジしてね、と提案する雑誌も多いけど、ウチはそのまま着てほしいと思って作っているので、本望です。プライベートはどう過ごすことが多いですか?

Shuta:僕、割と引きこもりで大体家にいます。

守谷:好きなことをやったり?

Shuta:ゲームをしたり、アニメーションやマンガも好きで、日本の誇れる文化としてそういうサブカルはずっと推しています。作品作りでも、そっちのカルチャーからヒントを得ることの方が多いです。

守谷:よく聴く音楽は? 
S
huta:正直特になくて、幅広く聞きます。R&Bは元々聴いてたし、ヒップホップにロック、ジャズも聴くし、ここ数年メジャーになっているボカロも、こうして流行る前から聴いてました。ハマったら傾倒しちゃう。でも、飽きないんですよ。

守谷:柔軟なんでしょうね。だから今日の撮影でもあれだけ表情が出たのかもしれない。ハマるにしても、一つしかない人はそれオンリーになってしまうから。ワードローブも振り幅広そうですよね。 

Shuta:いろいろですね。最近は少しゆったりめのものを着てますけど、スキニーもあるし。でもシャツ系が多いのかな。

守谷:僕はTシャツばっかり。

Shuta:そのイメージあります!僕はシャツ好きなので、衣装部屋にもシャツが結構掛かってて。

守谷:Armillary.もそうだよね、襟付きが多い印象がある。ご自身のブランドは勉強しながら進化を続けている最中だと思うけど、個人的に今の完成度はどうですか?

Shuta:全然です。もちろんその時の100%で作ってますけど、良かったと言ってもらえても、自分の中では「違うんだよな」みたいな感覚は常にあります。まだまだ出せていないアイテムもいっぱいあるし、デザインは無限にあると思うので、今後も突き詰めていって「Armillaryといったらこれだよね」と世に浸透できる、もしくは逆に決まった型がないからこそ楽しめる、そのどちらかに辿りつけたらなと模索しています。一番大事なのは、自分が好きなものを作ること。流行ってるからこう、とかは絶対したくないです。

守谷:愛せないと駄目ですよね。Shuta君は話しやすくて親しみもあるね。撮影中も、ボーイ・ジョージっぽさを感じたり、今話してたらマイケル・モンローっぽいなと。色んな表情があってびっくりする。

Shuta:ありがとうございます。

守谷:写真でそれを見せる、というのもすごく珍しいタイプですよね。何を着てもその人になってしまうこともあるんです。それを超える、いろんな表情があるから。最終的にはもちろんShuta君なんだけど。今後はどうしていきたいですか? 

Shuta:最近、コミュニケーションツールとして、ファンと交流ができるアプリ「SS App」を始めさせていただいたんです。

守谷:アプリ! 次世代だね。

Shuta:リリースしたてなんですけど、ゼロベースから始めて。いくつになっても新しいことにチャレンジしなきゃいけないなと。壁にぶち当たるのをやめると腐っちゃう感じがする。それに、世の中正解はないので。服も音楽も正解がないし、容姿も各々の好みだったり。

守谷:もちろんそうだよね。

Shuta:意見も然り。そうでなければ国会で派閥が起きたり、世界で戦争が起きることもないだろうし、という考えが僕にはあって。正解がないからこそ自分がやりたいことをちゃんとやりたい。人の目を気にしない、嫌われる勇気を持つと言うのかな。ここ数年はそういうことを自分の中に掲げています。人の目を気にして作るとストレスになるし、いいものも作れない。今の時代だからこそ、精神的に強くないと乗り越えられないこともたくさんあると思うんです。

守谷:素晴らしい。考えてることが奥深いね。とてもじゃないけど、話し足りないな。

Shuta:僕も元からポジティブなワケではなく、ましてや無理してそうなろうとも思わないし、ネガティブな部分ってそれぞれあるはず。でも、絶対に前進しなきゃいけない。人生は長い暇つぶしみたいなもので、自分がどう楽しく生きるかだと思うんです。正解がないからこそ、自分が生きたいように生きよう。自分がやりたいことをちゃんとやろう。自分が言いたいことを言おう、と。なので、今後も自分がやりたいように進んでいきたいと思っています。

守谷:アーティストとして、自身のことを含むメッセージなんだね。

Shuta:本当にそう思います。それがどのように評価されても、後悔しないようにした方がいい。チャレンジしていくことに意味があるし、他人は変えられないけど自分は変えられるので、無限大の可能性を自分で作っていけるという意味では、自分がやりたいこと全部をやってみたいです。新しいこともそうだし、今手掛けているArmillary.も音楽も自分なりに突き詰めていく。そういう感じで全部一貫してます!

守谷:男らしいですね。僕なんか弱いからな。

Shuta:いや、僕も弱いですよ。でも、そういう気持ちで物作りをしています。

守谷:すごく勉強になります。今日は濃密な対談、そして撮影をありがとうございました。

Shuta:こちらこそ、ありがとうございました!